フォーマルウェアの歴史

今回は
・モーニングコート
・タキシード
2つのフォーマルウェアの歴史をご紹介します。

モーニングコートの成り立ち

モーニングコートとは

モーニングコートは、前方の裾が斜めに大きくカットされたフォーマルウェアです。
昼間の正礼装とされており、結婚式や叙勲式などで着用されます。
式典が夜間の場合は、燕尾服を着ることが一般的です。

乗馬時の利便性から生まれたモーニング

モーニングコートの前身は、フロックコートです。
前後の丈の長さが同じで、横から見ると長方形のように見えるフロックコート。
クラシックなデザインである一方、運動時の利便性が難点でした。

当時の貴族の間では朝に乗馬をする習慣があったそうです。
フロックコートでは脚を前方へ伸ばす動作がしにくく、乗馬向きではありませんでした。
そこで生まれたのが、モーニングコートです。
前方の裾を大幅にカットし、動きやすい衣服となりました。
その裾を切断した形状から、「カッタウェイ・フロックコート」とも呼ばれています。

朝の乗馬時に着られたことから、「モーニングコート」の名称となり、20世紀からは、昼間の正礼装として着用されるようになりました。

モーニングは着用機会の少ない正礼装

現代の日本では、昼夜問わず結婚式や叙勲式などで着られることがありますが、着用機会はとても少ないフォーマルウェアです。
そのため、モーニングコートはレンタルする方がほとんどです。
モーニングコートは、フォーマルウェアならではの着こなしルールがあります。
揃えなければならないアイテムもあるため、一式を揃えられるレンタルサービスは、
リーズナブルで、時短にもなります。

タキシードの成り立ち

タキシードとは

タキシードは夜間の準礼装です。
夜間の正礼装である燕尾服の略式とされていますが、近年では正礼装と考えられることも。
結婚式や披露宴で新郎が着ているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
結婚式以外にも、パーティーや晩餐会などで着ることもでき、着用機会の多いフォーマルウェアとなっています。
タキシードには、ヨーロッパとアメリカ、2つの成り立ちがあると言われています。

ヨーロッパで生まれたタキシード

ヨーロッパでは、1870年代に生まれた「ラ・スモーキング・ジャケット」が
タキシードの前身となったと言われています。
ラ・スモーキング・ジャケットは、その名の通り、喫煙しながら部屋でくつろぐための衣服です。
燕尾服の裾をカットしたもので、部屋着としてリラックスしやすい作りとなっています。
ラ・スモーキング・ジャケットは、当時のイギリス皇太子・エドワード7世が着用したことで話題に。
その後、夜間の準礼装と認められ、一般層にも広く普及しました。

アメリカでのタキシードの誕生

アメリカでのタキシードの起源は、パーティに燕尾服をカットしたジャケットを着てきたことにあると言われています。

1886年、アメリカで社交パーティ「タキシード・クラブ」が開催されていました。
主催者のグリズウォールド・ロリラードは、燕尾服の裾を大きくカットしたジャケットを着て出席したそうです。
これは斬新なファッションであると話題になり、「タキシード事件」と呼ばれることも。
(このとき着られていたのがラ・スモーキング・ジャケットという説もあります)
1890年代からは、若者を中心にさまざまな色を取り入れたタキシードファッションが流行しました。
1920年代頃からは、準礼装として認められ、広く普及することになります。

生活習慣で変化するフォーマルウェア

今回はモーニングコートとタキシードの成り立ちをご紹介しました。
乗馬や喫煙習慣など、生活様式によって衣服にも移り変わりがあるようです。
着用する際は、そうした点をふまえてみると面白いかもしれませんね。